物流現場の効率化とは?課題・作業改善・設備導入まで解説
- 7月7日
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更新日:7月8日
近年、物流業界では人手不足や物量の増加、多品種少量化などの影響により、現場の作業負担が大きくなっています。そのため、作業効率の向上やミスの削減を目的として「物流現場の効率化」に取り組む企業が増えています。

しかし、効率化といっても単に作業スピードを上げればよいわけではありません。作業動線や倉庫レイアウトの見直し、在庫管理の仕組みづくり、作業支援システムの導入など、現場全体の設計を踏まえて進めることが重要です。
実際に、部分的な改善だけでは期待した効果が得られず、作業負担が別の工程に移ってしまうケースも少なくありません。物流現場の効率化を実現するためには、現場の課題を整理し、作業方法やシステムを含めた全体最適の視点で検討することが求められます。
この記事では、物流現場における効率化の基本的な考え方や、現場で発生しやすい課題、改善を進めるためのポイント、システム活用の考え方について解説します。
目次
1.物流現場の効率化とは?

物流業務は入荷、保管、ピッキング、仕分け、出荷など複数の工程で構成されており、それぞれの工程が連携して進みます。そのため、特定の作業だけを改善しても、現場全体の効率向上につながるとは限りません。
物流現場の効率化を進めるためには、現場全体を俯瞰しながら課題を整理し、適切な改善策を検討することが重要です。
ここでは、物流現場における効率化の意味と、効率化が求められている背景について解説します。
1-1 物流現場における効率化の意味
物流現場における効率化とは、作業時間や人員、作業精度のバランスを最適化し、限られたリソースの中でより多くの業務を安定して処理できる状態を目指すことを指します。
単に作業スピードを上げることだけではなく、ムダな移動や待ち時間を減らし、ミスの発生を抑えながら現場全体の生産性を高めることが重要です。

具体的には、作業動線の見直しや在庫管理の仕組みづくり、作業支援システムの活用など、さまざまな観点から改善が検討されます。物流業務は複数の工程が連携して進むため、工程のバランスを踏まえながら改善を進める必要があります。
そのため、特定の作業だけを改善しても、現場全体の効率が向上するとは限りません。効率化を進める際には、各工程の作業内容や作業量を整理し、物流現場全体の流れを踏まえて改善を進めることが求められます。
1-2 物流業界で効率化が求められている背景
近年、物流業界では現場の効率化が重要なテーマとなっています。その背景には、物流を取り巻く環境の変化があります。特に人手不足の深刻化や出荷形態の変化により、従来の作業方法では対応が難しくなるケースも増えています。
物流現場で効率化が求められている主な要因として、次のような点が挙げられます。
人手不足の深刻化
EC市場拡大による出荷件数の増加
多品種少量出荷の増加
短納期配送への対応
特にECの拡大により、1件あたりの出荷数量は少なくなる一方で、出荷件数は増加傾向にあります。このような環境下では、従来の作業方法のままでは現場の負担が大きくなりやすく、作業の効率化やシステム活用による改善を検討する企業が増えています。
2.物流現場で効率化が進まない主な課題
物流現場では効率化の必要性が認識されていても、実際には改善が進みにくいケースもあります。その理由の一つとして、現場の作業が長年の経験や習慣に基づいて構築されていることが挙げられます。

また、物流業務は複数の工程が連携して進むため、課題が特定の工程だけにとどまらない場合もあります。そのため、効率化を進める際には、まず現場でどのような課題が発生しているのかを整理することが重要です。
ここでは、物流現場で効率化が進まない要因としてよく見られる課題について解説します。
2-1 作業が属人化している
物流現場では、作業手順がベテラン作業者の経験や勘に依存しているケースがあります。このような状態では、作業方法が担当者ごとに異なり、作業スピードや作業品質にばらつきが生じやすくなります。
また、特定の作業者だけが業務内容を把握している場合、その担当者が不在になると作業が滞ってしまう可能性があります。新人作業員の教育にも時間がかかりやすく、現場全体の作業効率にも影響を与えることも少なくありません。
このような属人化を解消するためには、作業手順の整理やマニュアル化を進め、誰でも一定の手順で作業できる環境を整えることが重要です。さらに、作業指示のデジタル化や作業支援システムの活用などにより、作業の標準化を進めることも効率化につながります。
2-2 移動距離が長い
物流現場では、商品の保管場所や倉庫レイアウトの設計によって作業者の移動距離が長くなっているケースがあります。ピッキング作業では商品を取りに行くための移動が発生するため、レイアウトや商品配置が適切でない場合、移動時間が作業全体の大きな割合を占めることがあります。
特に多品種の商品を扱う倉庫では、出荷頻度の高い商品と低い商品が混在して配置されていると、作業者が倉庫内を広く動き回らなければなりません。このような状態では、作業時間が増えるだけでなく、作業者の負担も大きくなります。
移動距離を短縮するためには、商品の出荷頻度に応じた配置や作業動線を考慮したレイアウト設計が重要です。出荷頻度の高い商品を作業しやすい位置に配置するなど、作業の流れに合わせた倉庫設計を行うことで、移動時間の削減につながります。
2-3 在庫情報がリアルタイムで把握できない
在庫管理が紙の帳票や表計算ソフトなどで運用されている場合、在庫情報の更新に時間がかかり、実際の在庫状況と管理データの間に差が生じることがあります。
このような状態では、在庫確認に時間がかかるだけでなく、欠品や誤出荷の原因になりかねません。

また、在庫情報がリアルタイムで把握できない場合、ピッキング作業や補充作業の効率にも影響が出やすくなります。作業者が在庫の有無を都度確認する必要があると、作業の手間が増え、現場全体の作業スピードが低下してしまいます。
このような課題を解消するためには、在庫情報をデジタルで管理し、リアルタイムで更新できる仕組みを整えることが重要です。WMS(倉庫管理システム)などを活用することで、在庫状況を正確に把握しやすくなり、物流現場の作業効率の向上につながります。
2-4 ピッキングミスや出荷ミスが発生する

物流現場では、多くの商品を扱う中でピッキングミスや出荷ミスが発生することがあります。特に、似た商品が多い場合や作業量が増える繁忙期などには、確認作業が不十分になりミスが発生しやすくなることがあります。
こうしたミスが発生すると、誤出荷への対応や再出荷の手配など追加のリカバリー作業が必要になります。その結果、本来の出荷作業が滞り、現場全体の作業効率を低下させる要因になる場合もあります。また、取引先や顧客からの信頼を損なう可能性も否定できません。
ミスを減らすためには、作業手順の見直しや確認作業の仕組みづくりが重要です。バーコードによる商品確認や作業支援システムの活用などにより、作業者が正しい商品を選択できる仕組みを整えることで、作業精度の向上と効率化の両立につながります。
3.物流現場の効率化を進める主な改善ポイント
物流現場の効率化を進めるためには、物流現場全体の作業フローや現場で発生している課題を整理したうえで、作業方法や運用の見直しを行うことが重要です。
効率化というと設備導入やシステム化をイメージしがちですが、まずは現場の作業内容やレイアウト、作業手順などを見直すことで改善できるケースも少なくありません。
また、物流業務は複数の工程が連携して進むため、一つの作業だけを改善するのではなく、現場全体の流れを踏まえて検討することが重要です。

例えば、移動距離が長い現場ではレイアウトや動線の見直し、在庫管理に課題がある場合はWMSの活用、ピッキングミスが多い現場では作業支援システムの導入など、課題によって有効な改善策は異なります。
ここでは、物流現場でよく見られる課題を踏まえながら、効率化を進める際に検討される主な改善ポイントについて解説します。
3-1 倉庫レイアウトの最適化
倉庫レイアウトは、物流現場の作業効率に大きく影響する要素の一つです。商品の保管場所や作業スペースの配置が適切でない場合、作業者の移動距離が増えたり、作業が集中して混雑が発生したりすることがあります。
特にピッキング作業では、商品の配置方法によって作業効率が大きく変わります。出荷頻度の高い商品を取り出しやすい場所に配置する、作業エリアごとに商品を整理するなど、作業内容に合わせたレイアウト設計が重要になります。
また、入荷作業、保管作業、出荷作業などの各工程がスムーズに連携できるよう、作業の流れを考慮した配置を行うことで、現場全体の作業効率の向上につながります。
3-2 作業動線の見直し
物流現場では、作業者の移動時間が作業全体の中で大きな割合を占めることがあります。そのため、作業動線が長くなっている場合、作業効率が低下する大きな要因になります。
例えば、ピッキング作業で倉庫内を何度も往復するような動線になっている場合、ムダな移動時間が増え作業効率が下がる可能性があります。これを防ぐためにも作業動線を見直し、できるだけ移動距離が短くなるように設計することが重要です。
商品の配置や作業エリアの区分けを工夫することで、作業の流れを整理し、無駄な移動を減らすことができます。作業動線を最適化することで、作業時間の短縮と作業者の負担軽減につながります。
3-3 作業の標準化
物流現場では、作業手順が担当者ごとに異なる場合があります。このような状態では作業スピードや作業品質にばらつきが生じやすく、現場全体の効率にも影響が出る可能性があります。
作業を標準化するためには、作業手順を整理し、誰でも同じ手順で作業できる環境を整えることが重要です。マニュアルの作成や作業手順の共有を行うことで、経験の浅い作業員でも一定の品質で作業を進めやすくなります。
また、作業内容が整理されることで教育時間の短縮にもつながり、現場全体の作業効率を安定させる効果が期待できます。
3-4 在庫管理のデジタル化
在庫情報がリアルタイムで把握できない場合、在庫確認の手間や欠品、誤出荷などの原因になることがあります。そのため、物流現場の効率化を進める際には、在庫管理のデジタル化が優先度の高い選択肢となります。

WMS(倉庫管理システム)などを活用することで、在庫データを一元管理し、入出庫情報をリアルタイムで反映できるようになります。また、作業指示や在庫照会もシステム上で行えるため、現場作業の効率化にもつながります。
在庫状況を正確に把握できる環境を整えることで、ピッキング作業や補充作業の効率向上だけでなく、欠品や誤出荷の防止も期待できます。
3-5 作業支援システムの導入
物流現場では、ピッキングや仕分けなどの作業を支援するシステムを導入することで、作業効率の劇的な向上が期待できます。システム上で作業指示を分かりやすく表示できるため、作業者が迷うことなく作業を進めやすくなり、判断にかかる負担の軽減にもつながります。
また、作業手順をシステム化することで、作業のばらつきを抑えやすくなります。
これにより、新人作業員でもスムーズに作業を進めやすくなり、現場全体の作業効率の安定化にもつながります。

物流現場の規模や、取り扱う商品の種類によって適したシステムは異なりますが、作業支援システムの導入は、効率化を強力に後押しする選択肢の一つです。
4.物流現場の効率化を実現するシステム
物流現場の効率化を進める際には、作業方法やレイアウトの見直しに加え、システムの活用も重要な選択肢となります。システムを活用することで、在庫情報の可視化や作業指示の効率化が進み、作業効率の向上やミスの削減につながる可能性があります。
一方で、導入するだけで自動的に効果が得られるわけではありません。現場の運用や既存システムとの連携を踏まえて検討することが重要です。
ここでは、物流現場の効率化に活用される主なシステムについて解説します。
4-1 WMS(倉庫管理システム)
WMS(Warehouse Management System)は、倉庫内の在庫情報や入出庫作業を管理するシステムです。入荷、保管、ピッキング、出荷といった物流業務の情報を一元管理することで、在庫状況の正確な把握や作業指示の効率化につながります。
例えば、入出庫の情報をシステム上で管理することで、在庫数量や保管場所をリアルタイムで確認しやすくなります。また、作業指示をシステムから出すことで、作業者が次に行う作業を把握しやすくなり、作業のばらつきを抑えやすくなります。
物流現場では、WMSを基盤として各種作業支援システムと連携させることで、作業効率の向上や作業精度の改善を図るケースもあります。そのため、物流システムを検討する際には、WMSを中心とした運用設計が重要になる場合があります。
4-2 ピッキング作業を支援するシステム
ピッキング作業は、物流現場の作業時間の中でも大きな割合を占める工程の一つです。そのため、ピッキング作業を効率化することは、物流現場全体の生産性向上につながる可能性があります。
ピッキング作業を支援するシステムでは、作業者に対して商品の保管場所や数量などの作業指示を分かりやすく提示することができます。これにより、作業者が情報を確認しながら作業を進めやすくなり、作業スピードの向上や作業ミスの削減につながる場合があります。
また、作業内容がシステムで管理されることで、作業手順の標準化にもつながります。新人作業員でも作業を理解しやすくなるため、教育時間の短縮や作業品質の安定化が期待できます。ピッキング作業支援システムにはさまざまな方式があるため、現場の出荷形態や作業フローに合わせて選択することが重要です。
4-3 デジタルアソートシステム(DAS)
デジタルアソートシステム(DAS)は、主に店舗別や配送先別の仕分け作業を支援するシステムです。仕分け間口に設置された表示器やランプによって作業指示を行い、作業者は表示された数量に従って商品を投入していきます。
このような仕組みにより、作業者が仕分け先や数量をその都度、頭で判断する必要が少なくなり、作業のスピード向上や仕分けミスの削減につながる可能性があります。特に、店舗配送や多くの配送先に商品を仕分ける
物流センターにおいては、作業効率の改善を目的として導入が検討されることがあります。
また、DASはWMS(倉庫管理システム)などと連携して運用されるケースも多く、作業指示や出荷情報をシステム上で管理することで、物流業務全体の効率化につながる場合があります。
物流センターの出荷形態や作業フローに応じて、導入の適用可否を検討することが重要です。
5.物流現場の効率化で失敗しないためのポイント
物流現場の効率化を進める際には、設備やシステムを導入するだけで成果が出るとは限りません。現場の課題を十分に把握しないまま改善を進めると、期待した効果が得られないこともあります。
ここでは、物流現場の効率化を検討する際によく見られる失敗例と、事前に押さえておきたいポイントについて解説します。
5-1 設備やシステムの導入だけで改善しようとする
物流現場の効率化を目的として設備やシステムを導入しても、期待した効果が得られないケースがあります。
物流業務は複数の工程が連携して進むため、特定の工程だけを改善しても、前後の工程とのバランスが取れていなければ作業の滞留や新たな負担が発生する可能性があります。例えば、ピッキング作業のスピードを向上させても、その後の仕分け作業や出荷作業が追いつかなければ、現場全体の効率は大きく改善しません。
設備やシステムはあくまで作業を支援する手段です。現場全体の作業フローを整理したうえで、どの工程を改善するべきかを明確にしながら導入を検討することが重要です。
5-2 現場の作業フローを整理せずに改善を進める
現場の作業フローを十分に把握しないまま改善を進めると、課題の原因が明確にならず、期待した効果が得られない可能性があります。
例えば、作業時間が長い工程だけを改善しても、その前後の工程にボトルネックが残っていれば、現場全体の効率向上にはつながりません。
現場の作業フローを整理することで、作業の滞留やムダな工程、ボトルネックとなっている作業を把握しやすくなります。
こうした情報を基に改善を検討することで、より効果的な効率化につながります。
5-3 既存システムや将来の拡張性を考慮していない
物流システムを導入する際には、現在の運用だけでなく、既存システムとの連携や将来的な物量増加も考慮することが重要です。
例えば、WMS(倉庫管理システム)と連携できないシステムを導入すると、作業情報を個別に管理する必要が生じ、運用が複雑になる可能性があります。また、現時点の物量だけを基準に設備や運用を設計した場合、将来的に出荷件数や取扱商品(SKU)の増加に対応できなくなるリスクもあります。
そのため、物流システムを検討する際には、既存システムとの連携性や将来的な業務拡張も見据えながら構成を検討することが重要です。
6.物流現場の効率化を進める前に整理したいポイント
物流現場の効率化を成功させるためには、設備やシステムを導入する前に、まず現場の状況を正しく把握することが重要です。
現場の課題や作業量を整理しないまま改善を進めると、期待した効果が得られなかったり、新たなボトルネックが発生したりする可能性があります。そのため、効率化を検討する際には、現在の運用状況や作業フローを確認し、どこに改善余地があるのかを明確にしておくことが大切です。
例えば、次のような点を整理しておくことで、改善の方向性を検討しやすくなります。

取扱SKU数や商品の特性(サイズ・重量・保管条件など)
1日の出荷件数や出荷量(平均出荷件数、最大出荷量)
ピッキングや仕分けなど各工程における人員配置と作業量
現在のレイアウトや作業動線・既存システム(WMSなど)の運用状況
これらの情報をもとに、作業方法の見直し、レイアウト改善、作業支援システムの導入などを検討することで、現場に適した効率化の方法を選定しやすくなります。
物流現場の効率化は、設備やシステムだけで実現できるものではなく、現場の作業設計や運用方法を含めて検討することが重要です。現場によって課題や運用条件は異なるため、自社の物流フローに適した改善方法を選定することが求められます。
まずは収集した情報をもとに課題を整理し、そのうえでレイアウト改善やWMS、DASなどのシステム活用を含めた最適な運用設計を検討することが、物流現場全体の効率化につながります。
7.物流現場の効率化は現場全体の設計が重要
物流現場の効率化を実現するためには、設備やシステムの導入だけでなく、現場の課題に合わせて作業方法や運用を見直すことが重要です。
倉庫レイアウトや作業動線の改善、作業の標準化、在庫管理のデジタル化などを組み合わせることで、現場全体の生産性向上につながります。
物流現場の効率化を成功させるためには、個別の改善にとどまらず、現場全体を俯瞰しながら最適な運用を設計する視点を持つことが大切です。
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