
倉庫の効率化とは?課題別の改善方法と進め方をわかりやすく解説
公開日:
2026年2月10日
倉庫業務では、人手不足や作業量の増加、多品種・小ロット化への対応など、さまざまな課題を背景に効率化の重要性が高まっています。さらに近年では、トラックドライバーの労働時間規制強化を背景に、荷待ち時間の削減や荷役作業の迅速化が求められるようになり、倉庫側にもより高い生産性が求められています。

こうした状況の中で、作業時間の短縮やコスト削減を目的に改善を進めたいと考える現場も多い一方で、「どこから手を付けるべきか分からない」「改善しても効果が 出にくい」と感じているケースも少なくありません。
その背景には、倉庫効率化が単に作業を早くすることや設備を導入することだけだと捉えられてしまっている点があります。
実際には、レイアウトや作業フローの見直し、情報管理の改善、さらには工程全体を踏まえた仕組みづくりなど、複数の視点から取り組むことが求められます。
そこで本記事では、倉庫効率化の基本的な考え方から、代表的な改善方法、進める際の注意点までを解説します。
目次
1.倉庫効率化とは?基本的な考え方
倉庫効率化を進めるにあたっては、まず「効率化とは何を指すのか」を整理しておくことが重要です。
効率化の捉え方を誤ると、一時的な改善にとどまり、現場全体としての成果につながらないケースもあります。
1-1 倉庫効率化が求められる理由
近年、倉庫現場では人手不足や作業量の増加に加え、取扱商品の多様化や出荷頻度の
増加といった変化が進んでいます。
こうした環境の中で、従来と同じやり方を続けていると、作業負荷の増大やミスの発生、コスト上昇につながりやすくなります。
また、倉庫内作業の遅れが輸送工程全体に影響を及ぼすケースも増えており、限られた人員や設備の中でも安定した業務を維持するために、倉庫全体の効率を見直す必要性が高まっています。
1-2 効率化=スピードアップではない

倉庫効率化というと、作業時間を短縮することや処理能力を上げることに目が向きが
ちですが、それだけが効率化ではありません。作業のムダを減らすこと、ミスを防ぐこと、業務を標準化して属人化を抑えることも、重要な効率化の要素です。
また、安全性の向上も効率化の重要な側面です。作業事故やヒヤリハットは、現場の混乱や作業停止を招き、結果として大きな効率低下につながります。
そのため、一部の工程だけを改善するのではなく、入荷から出荷までの流れを踏まえた全体的な視点で効率化を考えることが重要です。
2.倉庫効率化を進める前に押さえておきたいポイント
倉庫効率化を効果的に進めるためには、具体的な改善策に着手する前に、まず現場の状況や

課題を整理しておくことが重要です。
事前の整理が不十分なまま改善を進めてしまうと、期待した効果が得られないだけでなく、かえって作業負担が増えることもあります。
効率化に取り組むために、現状把握や改善の進め方について基本的なポイントを押さえておきましょう。
2-1 現状把握と課題の洗い出し
効率化の第一歩は、現在の倉庫業務がどのような流れで行われているのかを把握することです。入荷、保管、ピッキング、出荷といった各工程を整理し、時間がかかっている作業やミスが発生しやすい箇所を明確にします。
現場の作業内容を可視化することで、改善すべきポイントや優先順位が見えやすくなります。
2-2 局所改善ではなく全体最適を意識する
特定の工程だけを改善しても、他の工程に負荷が集中してしまうことがあります。その結果、全体としての作業効率が かえって低下してしまうケースも少なくありません。
倉庫効率化では、個々の作業を切り離して考えるのではなく、倉庫全体の流れを踏まえたうえで改善を検討することが重要です。
全体最適の視点を持つことで、持続的な効率化につながりやすくなります。
3.倉庫効率化の代表的な方法

倉庫効率化にはさまざまな方法がありますが、現場の状況や課題によって有効な取り組みは
異なります。
やみくもに施策を取り入れるのではなく、代表的な改善方法を把握したうえで、自社の倉庫に適したものを検討することが重要です。
倉庫効率化の代表的な方法を見ていきましょう。
3-1 レイアウト・動線の見直し
倉庫内のレイアウトや作業動線は、作業効率に大きな影響を与えます。
保管場所が適切でない場合、移動距離が長くなり、作業時間の増加や作業者の負担につながります。
頻繁に出庫する商品を取り出しやすい位置に配置する、作業の流れに沿った動線を確保するといった見直しにより、ムダな移動を減らすことができます。
3-2 作業フローの標準化・見直し

入荷、検品、保管、ピッキング、出荷と
いった各工程で、作業手順が人によって異なると、作業品質やスピードにばらつきが生じます。作業フローを整理し、標準化することで、ミスの防止や作業時間の短縮につながります。
また、近年では業界全体で作業方法や帳票の標準化が進められており、こうした流れに合わせた運用を意識することも、効率化を進めるうえで重要なポイントです。
3-3 在庫管理・情報管理の改善

在庫情報や作業進捗が正確に把握できていないと、探し物や確認作業が増え、業務効
率が低下します。
そこで在庫の所在や数量を見える化し、情報を一元管理することで、作業のムダを減らすことができます。
また情報管理の改善は、作業効率の向上だけでなく、ミスの防止や業務の安定 化にもつながります。
4.システム・設備による倉庫効率化
レイアウトや作業フローの見直しに加えて、システムや設備を活用することで、倉庫業務の効率化をさらに進めることができます。
ただし、システムや設備は導入すること自体が目的ではなく、現場の課題に合った使い方が重要です。
4-1 倉庫管理システム(WMS)の活用
倉庫管理システム(WMS)は、在庫管理や作業指示、進捗管理などを一元的に行うための仕組みです。 入出庫情報や在庫状況をリアルタイムで把握できるようになることで、作業のムダや確認作業を減らすことができます。
また、作業指示をシステム化することで、作業手順の標準化やミスの防止につながり、倉庫全体の業務を安定させやすくなります。
こうした取り組みは、いわゆる「物流DX」の一環として位置づけられることもあります。
4-2 自動化・制御技術を取り入れる考え方
倉庫業務の中には、人の判断や手作業に頼っている工程も多く存在しま す。こうした工程に自動化設備や制御技術を取り入れることで、作業負荷の軽減や処理能力の向上が期待できます。
重要なのは、単体の設備を導入することではなく、倉庫全体の作業工程や運用に合わせて制御やシステムを設計することです。既存設備を活かしながら、工程全体を見据えて仕組みを整えることで、無理のない効率化につながります。
5.倉庫効率化がうまく進まない原因

倉庫効率化に取り組んでも、期待した効果が得られないケースは少なくありません。
その背景には、設備や手法そのものではなく、改善の進め方や考え方に原因があることも多く見られます。
ここでは、倉庫効率化がうまく進まない主な2つの原因を紹介します。
5-1 現場に合わない改善策を導入してしまう
他社事例や一般的な改善方法をそのまま取り入れても、自社の倉庫に適していなければ十分な効果は得られません。作業量や人員構成、倉庫の広さや運用ルールが異なれば、最適な改善策も変わります。
また、現場作業者が新しい仕組みに慣れず、運用が定着しないケースもあります。現場の実情や作業者の理解度を考慮せずに改善を進めてしまうと、かえって作業負担が増えたり、仕組みが形骸化したりする可能性があります。
5-2 運用や制御まで考慮されていない
設備やシステムを導入しても、運用方法や制御の考え方が整理されていないと、効率化につながりにくくなります。
作業手順や役割分担が曖昧なままでは、せっかくの仕組みを十分に活かすことができません。
また、導入コストに対してどの程度の効果が見込めるのかを事前に整理しておかないと、改善の判断が難しくなることもあります。
倉庫効率化では、設備やシステムだけでなく、それをどのように運用し、制御していくのかまで含めて検討することが重要です。
6.倉庫効率化を進める際の注意点

倉庫効率化は、一度の取り組みで完結するものではありません。現場の状況や業務内容の変化に応じて、段階的に進めていくことが重要です。
6-1 段階的に進める重要性
効率化を進める際に、すべての工程を一度に見直そうとすると、現場への負担が大きくなりやすくなります。
まずは課題が顕在化している工程や、効果が見えやすい部分から改善に取り組むことで、現場の理解を得ながら進めやすくなります。
段階的に改善を進めることで、効果を確認しながら次の施策を検討でき、無理のない効率化につながります。
6-2 将来の変化を見据えた設計
倉庫業務は、取扱量の増減や業務内容の変更など、将来的に変化する可能性があります。そのため、現状だけに合わせた改善ではなく、将来の拡張や運用変更も見据えた設計が求められます。
柔軟に対応できる仕組みを整えておくことで、後から大きな修正が必要になるリスクを抑え、長期的な効率化を維持しやすくなります。
7.まとめ:倉庫効率化を成功させるために
倉庫効率化は、単に作業スピードを上げることや、最新の設備を導入することだけを目的とするものではありません。レイアウトや作業フローの見直し、情報管理の改善、さらには工程全体を踏まえた仕組みづくりなど、複数の視点から多角的に取り組むことが重要です。
7-1 チェックリストの導入
自社の現状を振り返るために、まずは以下のポイントを確認してみましょう。

特定の担当者しか分からない「属人化した作業」が残っていないか?
出荷頻度に対して、商品の保管場所(ロケーション)は適切か?
システムを導入したものの、現場の運用ルールと乖離していないか?
効率化を進める際には、現場の状況や業務内容に合った手法を選ぶことが欠かせません。 一部の工程だけを改善して満足するのではなくするのではなく、入荷から出荷までの倉庫全体の流れと運用を見据えた「全体最適 」の視点を持つことで、持続的な効率が得られます。
7-2 物流DXと将来への展望
また昨今の「物流DX」の流れを汲み、WMS(倉庫管理システム)などのデジタル技術を活用することも有効な手段です。

これにより、リアルタイムでの在庫把握や作業の見える化が可能になり、データに基づいた迅速な意思決定が行えるようになります。
倉庫業務の効率化を検討する際には、設備やシステムを単体で捉えるのではなく、作業工程や制御、運用設計まで含めて検討することが、成功への大きながポイントになります。
現場の実情に合わせた仕組みづくり段階的にを進めることで、無理のない形で効率化を実現し、人手不足やコスト増といった課題を乗り越えることができるでしょう。
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